思想と戦争

西谷修

思想が言語によって現象を認識する人間特有の営みであるなら、あらゆる言葉の作用を反故にする戦争はその対極に位置する行為です。しかし同時に、戦争はエサや繁殖をめぐる動物の争いとは異次元の殺し合いであり、それが起きるのもまた人間社会をおいて他にありません。では、戦争の背景にはいかなる思想があり、また、戦争からいかなる思想が生まれてきたのでしょうか。思想史としての戦争、あるいは戦争史としての思想を通して、人間とは何かを考えます。

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