贈与、国家、資本主義
山崎 望

ベルリンの壁東側の壁画群(ウィキメディア)
第二次大戦後の世界に広まった自由民主主義。冷戦終結時には「歴史の勝者」と目されましたが、ここにきてその危機が叫ばれていると言います。いったい何が起きているのでしょうか。そして、これを「越える」社会のあり方とは? 柄谷行人の「交換様式論」を参考に、社会体制の成立契機とメカニズム、新たな可能性について考えます。中央大学法学部政治学科 山崎望教授のインタビューです。
この連載はアジェンダ「近代化とはなんだったのか」と紐付けられています。
この連載の記事
1. 自由主義と民主主義
――まずは自由民主主義についてお聞きしたいと思います。戦後の日本はほとんどの期間でこれを党名に掲げる政党が政権を握ってきたわけですが、そもそもはどういう思想なんですか。
2. 交換様式が社会を規定する
――戦後、日本を含む多くの国で採用されてきた自由民主主義が、新自由主義やポピュリズムの台頭によって危機を迎えているというお話でした。これに代わる社会体制を考えていく上で、先生は柄谷行人の「交換様式論」を採り上げておられますが、それについて解説していただけますか。
3. 純粋贈与の力
――現代の社会は資本(交換様式C)、ネーション(交換様式A)、国家(交換様式B)の三つが絡まり合って構成されており、この体制である限り、戦争や恐慌を避けることはできないというのが柄谷行人の議論の大枠であるというお話でした。この体制を突き崩すものとして彼は、交換様式A(贈与と返礼)の高次元での回復である交換様式Dを打ち出