このサイトは学問の世界と一般社会の架け橋になることを目標に、管理人の加藤哲彦がひとりで運営しています。サイトを開設する際、私は二つの決め事をしました。ひとつはすべての記事を無料で公開すること、もうひとつはサイトに広告を入れないことです。こう聞くと不思議に思われる方がいるかもしれません。コンテンツを無料にするのであれば、広告によって収益を上げるのが普通だからです。ではなぜそうしなかったのか。

　広告媒体としてのサイトの価値は基本的に、ユーザーの数や記事のPV（閲覧数）によって決まります。しかし私は、人間や自然や社会のあらゆる問いと向き合う学問がこれらの指標で測られることに、強い違和感を覚えました。ユーザー数やPVが価値基準になるのは市場の話であって、学問の議論とは無関係です。もしそれが一緒くたになれば「稼げる学問（多くの場合それは「実用性」と直結しています）」だけが生き残り、学問の自由や批判精神は息絶えてしまうでしょう。私自身は研究者でも何でもない素人ですが、仮にも学問のサイトを謳うのであれば、市場の選択やビジネスの論理に左右されないやり方をすべきだと考えたのです。

　これは市場に埋め尽くされた世の中へのささやかな、しかし渾身の抵抗です。真偽不明な情報や誹謗中傷までもが「商品」として流通するネット社会の片隅で、アテンションよりも真理を追い求める学問の場がどこまでやっていけるのか。この運動を時々でも思い出し、ご支援いただけると心から嬉しく思います。