言語化することによって「幻想化する」とも言えるのですが、小林秀雄は作家として言葉の限界を知っていた故に、幻想化による「めべり」を目測することができた。『幻想』は幻想としての意味を持つものです。しかしそれ以上の意味を与えることもできない。小林秀雄はそのことをはっきりと意識して文としている。そういうことです。
2023.02.15
小林秀雄の母が亡くなって数日後に、小林がロウソクを買おうと思って門を出ると、「今まで見たこともない様な大ぶりの」蛍を見て、「おっかさんは、今は蛍になっている」と思ったという話ですが、同じような経験は誰にでもあるんじゃないかと思うんです。
文化人類学
奥野克巳