2024.05.02
七生養護学校では、人形を使って性器の場所や名称を教え、こういう所を他人に触られるのはよくないことだから、もしもそういうことをされたら先生に言いなさいと授業で教えていました。これは知的障害をもつ子どもたちを性被害から守るためであり、先生方は生徒のために、本当に必死に取り組んでおられたと思います。しかし、バックラッシュ派はそれを「過激な性教育」の事例として取り上げ、性器の名前を連呼させるのが「ジェンダー・フリー派」の実態だと非難して、この授業を中止へと追いやったのです。これによってジェンダーは「過激な性教育」の代名詞にされ、以来今日に至るまで、日本ではまともな性教育が行われなくなってしまいました――尚、この事件に関して七生養護学校が東京都教育委員会と3名の東京都議会議員に対して起こした訴訟はいずれも原告の勝訴が確定し、先生方の授業が正当なものであったと認められています――。
ジェンダー研究
江原由美子